書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

岡井崇之

『「水俣」の言説と表象』小林直毅編(藤原書店)

→紀伊國屋書店で購入 「『水俣』をとらえ直す、メディア研究の集大成」 「水俣」は現在も続いている。しかしながら、「水俣」は、例えば歴史教科書から新聞、テレビといったメディア言説において、悲惨で繰り返してはならない過去の歴史として語られる。この…

『美女と機械―健康と美の大衆文化史』原克(河出書房新社)

→紀伊國屋書店で購入 「グローバルな身体文化の淵源を描き出す」 以前にも本欄で著者・原克(はら・かつみ)さんの著作を紹介したが、本書に触れてみて著者の作品をすべて読破してみようという気になった。 本書は、19世紀における『サイエンティフィック・ア…

『近頃の若者はなぜダメなのか―携帯世代と「新村社会」』原田曜平(光文社新書)

→紀伊國屋書店で購入 「〈若者論〉自体を問い直すきっかけに」 新刊を見つけても、評価がある程度定まってからでなければ触手が伸びないジャンルが二つある。若者がいかに変わったか、さらにはいかにだめになったかを論じる「若者論」と、メディアやメディア…

『悪魔の発明と大衆操作―メディア全体主義の誕生』原克(集英社新書)

→紀伊國屋書店で購入 「現代によみがえる大衆社会論」 2003年に出版された本書を、なぜいまになって語るのかということからお話ししておきたい。 昨年出席した某書籍の出版記念パーティーで本書著者の原克(はら・かつみ)さんにお会いした。そのときの原さん…

『娘と話す メディアってなに?』山中速人(現代企画室)

→紀伊國屋書店で購入 「メディアと人間の失われた全体性の回復」 曲がりなりにも教育に携わっていながら、最近まで「入門書」というものにまったく興味がなかった。何より入門書の押し付けがましさが好きになれなかったし、入門書の類には著者自身が心底面白…

『メディアスポーツ解体―〈見えない権力〉をあぶり出す』森田浩之(NHKブックス)

→紀伊國屋書店で購入 「五輪期間に、メディアとスポーツを考えるために」 「メディアとスポーツ。両者は互いに切磋琢磨する。単独でも十分に力のあるふたつが結びつくと、そこに強大な〈権力〉が生まれているはずだ。でも意識していなければ、その正体は思い…