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第28位 『なぜ君は絶望と闘えたのか』 門田隆将

なぜ君は絶望と闘えたのか

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(新潮社/税込1,365円)


光市母子殺人事件で突然妻と子を奪われた本村洋さんの9年にもわたる闘いの軌跡が描かれているこの本。本を読んでこれほど泣いたのははじめてだと言える程涙した。あまりの凄惨な状況に涙し、理不尽さに涙し、そして人々の言葉や行動に涙した。同時に、裁判とは、法とは誰のためにあるのかを考えさせられた。死刑制度の是非が問われ、裁判員制度が導入され、裁判がより身近になるであろう今だからこそ、幅広く読まれてほしい1冊である。

〔札幌本店・千葉万里江〕

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