書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2007-06-25から1日間の記事一覧

『星新一 一〇〇一話をつくった人』最相葉月(新潮社)

→紀伊國屋書店で購入 「ボッコちゃん」の人 その後たとえSF読みにならないにしても、私くらいの世代の多くは、星新一の本を手にした時期があったと思う。 ずっとあとになって、あるときふと読み返した星の代表作『ボッコちゃん』は、どの話もなにやらもの…

『Memoires 1983』古屋誠一(赤々舎)

→『Memoires 1983』 →『Aus den Fugen 脱臼した時間』 自死した妻のメモワール 金属のように光る馬の皮膚、ピンと背筋を伸ばしてまたがる女性、 彼女の張り出した額、凝視する鋭い視線。 ただならぬ予兆に充ちた表紙写真だ。 背後が闇で、この場所についてな…

『映画の世紀末』浅田彰(新潮社)

→紀伊國屋書店で購入 ●「映画との対話 ――映像の思惟学と記憶の政治学」 十九世紀と二一世紀のはざま――映画の世紀――を批判的に解読すること。本書において浅田彰が試みるのは、松浦寿輝、蓮實重彦、鵜飼哲、四方田犬彦とともに、映画をめぐる対話、ディスカッ…

『ゴダール革命』蓮實重彦(筑摩書房)

→紀伊國屋書店で購入 ●「映画的、ゴダール的 ――クリティークとクリエーション」 蓮實重彦がいうように、映画とは、いつ炸裂するともしれぬ「時限爆弾」である。映画には、撮られた時代や社会から遠く離れた地点で、時空を超えて不気味に作動し続ける時限装置…

『折れない葦  医療と福祉のはざまで生きる』 京都新聞取材班(京都新聞出版センター)

→紀伊國屋書店で購入 「2006年度 日本新聞協会賞受賞」 インターネット配信などもあり、 情報は常に過剰供給で身辺で氾濫している。 だから、知りたくもないようなことも知らされるので、 悪いニュースに溺れるような気もしないでもない。 でも、社会の…

『Mere Anarchy』Woody Allen(Random House)

→紀伊國屋書店で購入 「ウッディ・アレンさん、新しい本を出してくれてありがとう」 今回紹介する『Mere Anarchy』はウッディ・アレンが久々に出版した作品集だ。 僕は以前、マディソン街と76丁目にあるカーライル・ホテル内にあるカフェ・カーライルにク…