書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2007-06-26から1日間の記事一覧

『雪国(改版)』川端康成(新潮文庫)

→紀伊國屋書店で購入 日本にいると、自分が日本人であるという事を意識する機会は少ないかもしれない。しかし、海外で生活するといたる所でそれを意識させられる。移民局で滞在許可書を申請する時のような正式な機会ではなくとも、マーケットで買い物中に突…

『残りの時 パウロ講義』ジョルジョ・アガンベン(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 「メシア思想の解読の試み」 アガンベンの『アウシュヴィッツの残りのもの』は名著だったが、このタイトルにもなっている「残りのもの」という概念は、旧約聖書でも不思議に思わせる概念であった。神の王国にゆけるのは「イスラエルの残…

蓮實重彦「思考と感性とをめぐる断片的な考察7:声と文字」~『InterCommunication(季刊インターコミュニケーション)』No.58、Autumn 2006

→『InterCommunication』No58・2006年autumn ●「無声映画と歴史 ――映画批評とメディア論」 本論「声と文字」は、蓮實重彦が、現在『InterCommunication』誌(NTT出版)に連載している「思考と感性とをめぐる断片的な考察」の第7回として書き上げたテクス…

『シェイクスピアのアナモルフォーズ』蒲池美鶴(研究社)

→紀伊國屋書店で購入 マニエリスム英文学を体感 敬愛する編集工学研究所所長、松岡正剛氏の話題の『17歳のための世界と日本の見方』(春秋社)を読んで、背景にミッシェル・セールのライプニッツ研究やジル・ドゥルーズの『襞』を置きながらバロックを先駆的…

『戦後新劇-演出家の仕事〈2〉』日本演出者協会[編](れんが書房新社)

→紀伊國屋書店で購入 [劇評家の作業日誌](27) 日本演出者協会は「演出者の仕事」と題したシリーズを企画しているが、昨年、その第一巻が出た。副題は「60年代・アングラ・演劇革命」。この本はわたしも共同編集者の一人として携わり、内容構成や執筆者のリ…