書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2009-11-30から1日間の記事一覧

『読者はどこにいるのか――書物の中の私たち』石原千秋(河出書房新社)

→紀伊國屋書店で購入 評者:高野優(フランス語翻訳家) 今回は書評をお届けします。フランス語翻訳家の高野優さんが、創刊ラインナップ『読者はどこにいるのか』について書いてくださいました。高野さんは、ヴェルヌ『八十日間世界一周』やファンタジー『ア…

『定年からの旅行術』加藤仁(講談社)

→紀伊國屋書店で購入 「老いた人の旅は、過ぎゆく時間を抱きしめながら」 先日、会社の仕事で「名古屋モーターショー」に行ってきました。車中泊仕様にカスタマイズした車両を2台展示。1日中、車両の横に立ってお客さんの様子をみていますと、小さなお子さ…

第11位『神様のカルテ』夏川草介

→紀伊國屋書店で購入 (小学館/1,260円) ある病院の1人の医師を通して忙しく生活していると忘れがちな、でもきっと「ずっと忘れてはいけないもの」が見えてくる。読んだ後、胸が熱くなりました!! 本当に、自信を持ってオススメする一冊です。何年ぶりだ…

第12位『ねたあとに』長嶋有

→紀伊國屋書店で購入 (朝日新聞出版/1,785円) みんなもおいでよ! コモローの待つ山荘に。虫に驚き、お風呂にまごつき、コモロー家族が作ったなんだかなってゲームを、ゆるゆるとガチンコ勝負!! 絶対行きたい! でもあんまり人が来ちゃうのも困るから教…

第13位『半島へ、ふたたび』蓮池薫

→紀伊國屋書店で購入 (新潮社/1,470円) 旅の一番いい点は、以前よりこの世を肯定的に見られるようにしてくれること、と著者は言う。奪われた24年の拉致の中にも、少しでも肯定はあったのだろうか? 蓮池さんのソウル紀行「半島へ、ふたたび」を読んで、…

第14位『学問』山田詠美

→紀伊國屋書店で購入 (新潮社/1,575円) 海辺の町で成長していく四人の少年少女たち。方言のかわいらしさや大好きな故郷への思い、かけがえのない幼なじみへの気持ち・・・ その日々はきらきらと輝きに彩られているけれど、やがていつかは訪れる死の影も静か…

第15位『獣の奏者 〈3〉探求編・〈4〉完結編』上橋菜穂子

→紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 (講談社/各1,680円) 〈1〉〈2〉で終わったはずの物語、確かにここまでだと児童書としても充分でした。でもこの〈3〉〈4〉で完結したことで完全に大人のものにもなりました。何て深く何という衝撃を与えてく…

『一箱古本市の歩きかた』南陀楼綾繁(光文社文庫)

→紀伊國屋書店で購入 職業として古本を扱っていない人たちが、おのおののコンセプトで古本をセレクトし、段ボール一箱ぶんを持ち寄って集まり、市場をひろげる。「一箱古本市」なるイベントは、著者が住む谷中界隈で二〇〇五年の春に開催した「不忍ブックス…

『転身力』小川仁志(海竜社)

→紀伊國屋書店で購入 「山口県に面白い哲学者がいる!」 それまでの生き方から、がらりと変身した人に興味があります。 「人生でひとつだけのことに専心して、そのことによって生活ができ、家庭を養うことができる。それが幸福である」 その価値観が日本の高…

『I’m sorry, mama.』桐野夏生(集英社文庫)

→紀伊國屋書店で購入 「「唐突」な恐怖」 今夏一時帰国したときにお誘いを受けて、紀伊國屋サザンシアターで、福岡伸一と斉藤環の対談を聞く機会があった。どちらも旬で活躍している人達なので、大変に興味深かったのだが、その中で斉藤環が桐野夏生を高く評…