書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2010-01-31から1日間の記事一覧

『朗読 Lolita』 Nabokov & Jeremy Irons (Random House)

→紀伊國屋書店で購入 『ロリータ』の朗読CDである。アメリカは通勤に鉄道よりも車を使うことが多いので運転しながらでも楽しめる録音書籍が普及しているが、これは並の録音書籍ではない。朗読しているのはなんとエイドリアン・ライン版の『ロリータ』に主演…

『現代日本の中小企業』植田浩史(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 「中小企業の慣習・政策・認識枠組みの歴史的変遷」 今回は、日本における中小企業とは何かという重要な論点を、統計的データだけでなく、歴史的背景を踏まえた認識枠組みから論じたこの本を取り上げたい。 本書の本格的な記述が始まる…

『偶然性・アイロニー・連帯』 ローティ (岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 ネオプラグマティズムの提唱者として知られるリチャード・ローティの文学・思想論である。 ローティが注目すべき思想家であることは堀川哲氏の『エピソードで読む西洋哲学史』で教えられたが、本書を手にとったのはローティに対する関心…

『JOHNNY TOO BAD 内田裕也』モブノリオ、内田裕也(文藝春秋)

→紀伊國屋書店で購入 『JOHNNY TOO BAD 内田裕也』は、モブノリオの書き下ろし小説「ゲットー・ミュージック」と内田が1986年に「平凡パンチ」で行った連載対談「内田裕也のロックン・トーク」を一冊に収めた特異な書物である。装丁は二冊が一枚の表紙でとめ…

『だまされる視覚 --- 錯視の楽しみ方』北岡明佳(化学同人)

→紀伊國屋書店で購入 17世紀のオランダを代表する画家レンブラントは、その作品の中で光を効果的に表現したことでも有名である。たとえば、彼の作品「愚かな金持ちの譬え」では、薄暗い部屋の中央に置かれたろうそくの光が周りを照らす様子がありありと描か…

『シナリオ別冊 作家を育てた日活ロマンポルノーシナリオ選集』(シナリオ作家協会)

『シナリオ別冊』の「作家を育てた日活ロマンポルノーシナリオ選集」は、日活ロマンポルノの優れたシナリオ10本が、脚本家、関係者の対談、解説などによって紹介されている。神代辰巳『一条さゆり 濡れた欲情』(71、監督・神代辰巳)、中野顕彰『牝猫たちの…

『「芸術」の予言!! 60年代ラディカル・カルチュアの軌跡』(フィルムアート社)

→紀伊國屋書店で購入 『「芸術」の予言!! 60年代ラディカル・カルチュアの軌跡』は、1968年10月から1972年12月に刊行された全13号の『季刊フィルム』と1973年7月から1974年6月に隔月刊となった全9号の『芸術倶楽部』に掲載されたテクストの選集の第一弾で…