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プロの読み手による書評ブログ

2013-04-30から1日間の記事一覧

『モノローグジェネレーション』小坂俊史(竹書房)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 「誰もが、「よそ者/観察者化」する中で、織りなされるモノローグの饗宴」 本作は、漫画家小坂俊史のモノローグシリーズの最終作にあたる。前作の『遠野モノがたり』、前々作の『中央モノローグ線』と書評を書かせていただいた…

『神の手』久坂部羊(幻冬舎文庫)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 「安楽死は必要か?」 安楽死を見届けた人を二人知っている。一人はご主人の、もう一人は友人の安楽死を経験していた。もちろん合法化されているオランダでの出来事だ。それを話してくれた二人の表情に曇りはなかった。家族や友…

『科学以前の心』中谷宇吉郎(河出文庫)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 今週、わが家では、起き抜けに「怪奇大作戦」が一話ずつ再生された。そのタイトルを、DVDを借りてきた夫の口から聞いたとき、私は「怪奇」ということばの響きに引きずられて、そんなおどろおどろしげなものをわさわざ朝から? …

『反市民の政治学-フィリピンの民主主義と道徳』日下渉(法政大学出版局)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 リピーターが多く、やみつきになる国や地域、社会がある。そんな国のひとつがフィリピンで、著者もその虜になった。「あとがき」で著者は、その理由をつぎのように述べている。「私は、フィリピンをこよなく愛している。いつも…

『ビッグデータ時代のライフログ―ICT社会の”人の記憶”』安岡寛道 編(東洋経済新報社)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 「ライフログはいかに活用されるか=便利でお得で、安心安全な社会は築けるか」 本書は、近年注目を集めつつある「ライフログ」に関する総合的な研究の成果である。ここでいうライフログとは、「人間の行い(Life)をデジタルデ…

『テレビという記憶―テレビ視聴の社会史』萩原滋 編(新曜社)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 「歴史化されるテレビ」 本書のサブタイトルは、「テレビ視聴の社会史」であり、テレビを歴史的な視点からとらえようとする先鋭的かつ意欲的な論文からなる論文集となっている。 評者は、まずこの、テレビという存在が歴史化さ…

『ぽちゃまに』平間要(白泉社)

→紀伊國屋ウェブストアで購入 「太めの少女がヒロインのラブコメ少女マンガ」 本作は、「ぽっちゃりな女子校生」本橋紬が、ある一点で「残念なイケメン」と噂される田上幸也に告白され、その後、様々な恋愛模様を繰り広げるラブコメ少女マンガである。そして…