書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

プロの読み手による書評ブログ

2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『ラジオ深夜便 母を語る』聞き手・遠藤ふき子(NHKサービスセンター)

→紀伊國屋書店で購入 「すべての「母」に贈りたい」 NHKラジオの「ラジオ深夜便」は今年で20年をむかえたそうである。昭和天皇のご容体報道に備えてはじめた深夜の放送が、緊急報道を第一にして今も毎晩静かに流れており、人気のコーナーがいくつもある。な…

売上ランキング:第二週

波乱の結果となった最初の結果発表から、 早くも一週間が経過致しました! 第二週の集計結果をここに発表致します! ■ワールド文学カップ世界ランキング集計方法 参加している作品の売上冊数を文庫本1冊=1ポイント、単行本1冊=3ポイントとしてそれぞれの所…

『中国新声代(しんしょんだい)』ふるまいよしこ(集広舎)

→紀伊國屋書店で購入 「多様な中国を、各界の識者の発言から擬似体験する」 本書は、中国に長く住む日本人の著者が、中国では名の知られた多様な分野の識者に行ったインタビュー集である。もともと、今はなき朝日新聞社の「論座」で連載されていたものに、再…

「ディアスポラ文学フェア」開催中!

現在開催真っ最中のワールド文学カップですが、 連動企画として「ディアスポラ文学フェア」が行われています。 その開催場所とはなんと……お向かいのジュンク堂書店新宿店! 今回はTwitter上でも“ライバル書店同士の枠を超えた!”と話題になった このジュンク…

『グノーシス「妬み」の政治学』大貫隆(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 「神話の内的な構成原理としての妬み」 旧約の神が「妬む神」であることはよく知られている。最近の新共同訳では、この訳語をふさわしくないと判断したのか、「わたしは熱情の神である」(「出エジプト記」二〇章五節)と訳しているが、…

Lifeで紹介されました!

紀伊國屋書店は今月、 以前から一緒にイベントにやったり、 新宿本店常設棚「文化系書店紀伊國屋Life堂」でお世話になっている TBSラジオ・月イチ深夜の生放送番組「文化系トークラジオLife」 のスポンサーになりました。 というわけでさっそく、LifeのWEBサ…

『青い野を歩く』クレア・キーガン(白水社)

→紀伊國屋書店で購入 「寒い日に読みたい憂愁のアイルランド・バラッド短篇集」 読むだけでこれが北の国であることがわかる。色彩はそう豊かではなく、干し草やナナカマドなど南ではあまり見られない植物が風景の中によく出てくる。装丁の風景が静かなように…

『自然災害と復興支援』林勲男編著(明石書店)

→紀伊國屋書店で購入 何気なく見た索引のトップが、「空き家」だった。通常、索引に取り上げられない「空き家」があることで、この本はこれまで読んだ本とどこか違うと身構えてしまった。 全執筆者16人の専攻は、つぎのように紹介されていた(複数あげられた…

『Reading the OED : One Man, One Year, 21,730 Pages』Ammon Shea(Perigee)

→紀伊國屋書店で購入 辞書を読むなんて、何でも電子志向の昨今ではナンセンスかもしれない。検索でヒットする答えを見つけたらハイ次というスピード感でないとついていけない世の中だと多くの人が感じ、そのように動いている。 辞書を引くという行為は、ただ…

『闘争と文化―マックス・ウェーバーの文化社会学と政治理論』野口雅弘(みすず書房)

→紀伊國屋書店で購入 「ニーチェの視点から読み直すウェーバー」 ウェーバーについて伝統的に語られている八つの通説にたいして、その反論を計画したもの。一読すると個別の論文を集めたもののような印象があるが、明確な計画のもとで書かれたドイツ語の博士…

売上ランキング:第一週

皆様大変長らくお待たせ致しました。 開催第一週の売上ランキングを ようやくまとめることができましたので、 ここに公表させて頂きます。 ■ワールド文学カップ世界ランキング集計方法 参加している作品の売上冊数を文庫本1冊=1ポイント、単行本1冊=3ポイン…

『Just Kids』 Patti Smith(Ecco Press)

→紀伊國屋書店で購入 「パティ・スミスとローバート・メイプルソープのニューヨーク」 2001年にビート詩人のグレゴリー・コーソが死んだ。僕は、ニューヨークのロワー・イーストサイドでおこなわれた彼の葬儀に出席した。 その席で一番印象に残ったのは…

『言葉と死 ― 否定性の場所にかんするゼミナ-ル』ジョルジョ・アガンベン(筑摩書房)

→紀伊國屋書店で購入 「アガンベンの力技」 アガンベンが一九七九年から一九八〇年にかけた行ったセミナーの記録であるが、「そこで議論された考えと素材をわたしがだれにでも納得してもらえそうなかたちにまとめ直して提示したもの」(p.8)だそうである。し…

ブックレット掲載:第六回

ブックレット掲載も今回で第六回目。 とうとう「日本文学代表選抜会」に入ります! ちなみにこれまで紹介してきたページは 蜷川がレイアウトデザインを行ったものですが、 このセクションは小木曽が担当しています。 冊子となったブックレットは4月1日より …

『ダリ・私の50の秘伝』ダリ,サルヴァドール(マール社)

→紀伊國屋書店で購入 ダリがピエロの事を書いているのを読んでいたら、Lavin経由でファンアイク>、そしてパノフスキー「象徴としての遠近法」(ちくま学芸文庫)にぶつかった。こういう事があるから読書は楽しい。 もとよりダリの絵画に縁はない。蟻や鍵付き…

『書いて稼ぐ技術』永江朗(平凡社)

→紀伊國屋書店で購入 「出版不況のなかで読むライター指南本の読後感はほろ苦いに決まっているだろう!」 出版物の生産地としての東京はいま揺れている。twitterだ、ブログだ、キンドルだ、iPadだあー、出版構造の大転換がきているぞー。だけどどーしよーもね…

『新世界秩序批判―帝国とマルチチュードをめぐる対話』アトゥツェルト,トマス/ミュラー,ヨスト編(以文社)

→紀伊國屋書店で購入 「『〈帝国〉』の構想への一つの補足」 ネグリ/ハートの『〈帝国〉』が、フーコーの生政治の概念を新しい方向に展開させて、ぼくたちの想像力をかき立てたために、この構想を補足し、修正するための書物がまだつづいている。本書もその…

『日本人の英語』マーク・ピーターセン(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 「そう簡単に英語はできるようにはなりません」 すごい。20年で実に62刷である。いったい何人の人がこの本を手に取ってきたことか。読んだことはなくとも、タイトルくらいは知っているという人も多いだろう。たしかによく書けている本だ…

『ケンブリッジ・サーカス』柴田元幸(スイッチ・パブリッシング)

→紀伊國屋書店で購入 「亡霊」にガイドされる記憶の旅 フリーで仕事をしているなら曜日など関係ないようだが、ウィークデーは世間とつながっている感じがし、それがオフになる週末はやはりほっとする。週末は時間の流れ方が変る。現実とのリンクが薄らぎ、そ…

『白の闇』ジョゼ・サラマーゴ(NHK出版)

→紀伊國屋書店で購入 「盲人の世界と小説の親和性」 初めてノーベル文学賞を受賞したポルトガル人、それがジョゼ・サラマーゴである。今大会に参加した彼の作品『白の闇』は「ブラインドネス」のタイトルで映画化されたことから、知っている方も多いだろう。…

ブックレット掲載:第五回

さあ、いよいよワールド文学カップも開幕しました! こちらのブログでは引き続き書評などを続けていくほか、 大会中の売上ランキングも発表していく予定です。 さて、今回は第五回目のブックレット掲載。 実物は4月1日より、 紀伊國屋書店新宿本店2階中央催…

『ぼくが葬儀屋さんになった理由』冨安徳久(講談社)

→紀伊國屋書店で購入 「暴走族だった青年を店長にする葬儀屋さんの心意気」 東京よりも地方が面白い。しかし活字になる書籍の多くは、本社が東京のものが多い。本が好きな人から見れば、地方には面白い会社が少ない、となりかねないのではないか。そんなこと…

『カントの啓蒙精神-人類の啓蒙と永遠平和にむけて-』宇都宮芳明(岩波書店)

→紀伊國屋書店で購入 「啓蒙と道徳の関係」 この著作の中心的なテーゼは、啓蒙は究極的には道徳的な啓蒙であるということである。啓蒙は周知のように「未成年の状態から脱出すること」と定義されており、カントは啓蒙されていない状態を、「わたしは、自分の…

本日よりワールド文学カップ開催!

いよいよこの日がやってまいりました。 本日よりワールド文学カップがスタートします! 前日の3月31日は会場の設営作業。 会場の様子を作業風景とともに少しだけ公開いたします。 設営作業にはたくさんの方々が駆けつけて下さいました。 心より御礼申し上げ…