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プロの読み手による書評ブログ

〔2014復刊書目〕 歴史・民俗

『近代天皇制と古都』高木博志(岩波書店

初版2006・最終版2006年◆四六判◆342頁◆税込3,564円(本体3,300円)

ISBN4-00-022550-2


近代天皇制のもとではじめて奈良と京都が「古都」として表象されたのはなぜか。文化的表象形成の深部に働く政治を鋭く抉り出す。


『ブラック・プロパガンダ 謀略のラジオ』山本武利(岩波書店

初版2002・最終版2003年◆四六判◆320頁◆税込3,240円(本体3,000円)

ISBN4-00-024611-9


米軍はサイパンから日本全土に、国内の反軍勢力を装った謀略放送を流した。米国の情報公開により第2次大戦の実態が初めて明かされる。


『日本の子守唄』松永伍一(紀伊國屋書店

初版1964・最終版1994年◆四六判◆228頁◆税込2,592円(本体2,400円)

ISBN978-4-314-01120-4


子守唄のあの哀調はなぜか――背景の庶民生活、出稼ぎ、故郷への慕情、社会風刺、エロスなどから、民俗学的なアプローチで唄い継いだ女性たちの心情を探る。


『日本王権論』網野善彦上野千鶴子宮田登(春秋社)

初版1988・最終版2000年◆A5変型◆288頁◆税込2,700円(本体2,500円)

ISBN978-4-393-29160-3


天皇制は何に支えられ、どんな機能を果たしてきたのか。存続の理由は何か。歴史学民俗学文化人類学の視点から日本精神史の深層に迫る。


『金と香辛料』ジャン・ファヴィエ/内田日出海訳(春秋社)

初版1997・最終版1997年◆A5判◆576頁◆税込7,020円(本体6,500円)

ISBN978-4-393-48524-8


危険を冒して異国の富を求めた先駆的実業家たち――大航海時代に先立ち海外ヘ飛翔し、「世界」経済の基礎を作った人々の活躍を描く名著。


日本海域の古代史』門脇禎二(東京大学出版会

初版1986・最終版1997年◆四六判◆390頁◆税込4,320円(本体4,000円)

ISBN 978-4-13-023035-3


5〜7世紀の古代日本にも、自立した地域国家群の興亡の歴史があった。日本海域の諸地域を、考古学の知見をふまえて描いた力作。


『過去の克服 ヒトラー後のドイツ』石田勇治(白水社

初版2002・最終版2005年◆四六判◆350頁◆税込3,996円(本体3,700円)

ISBN978-4-560-08365-9


「過去の克服」にはそれを促す力と押しとどめる力があった。このふたつの力のせめぎ合いをとおして、「過去の克服」をめぐる戦後ドイツの歩みを概観していく。


第一次世界大戦の起原 改訂新版』ジェームズ・ジョル/池田清訳(みすず書房

初版1997・最終版2007年◆四六判◆400頁◆税込4,536円(本体4,200円)

ISBN 978-4-622-07321-5


20世紀の序幕、第一次世界大戦の勃発。火元はサライェヴォ。「運命の夏」にいたる歴史のダイナミズムと精神状況を、現代史の第一人者が再現する。


『トルコ近現代史 イスラム国家から国民国家へ』新井政美(みすず書房

初版2001・最終版2008年◆四六判◆368頁◆税込4,860円(本体4,500円)

ISBN 978-4-622-03388-2


オスマン帝国=「イスラム国家」の凋落から近代国家への変身に賭けた、苦難の道のりをたどる。1699年以後の3世紀をカバーした興味津々の通史。


『歴史と啓蒙』ユルゲン・コッカ/肥前栄一、杉原達訳(未來社)

初版1994・最終版1994年◆四六判◆320頁◆税込4,104円(本体3,800円)

ISBN 978-4-624-11152-6


現代ドイツの歴史社会科学を代表する論客の、〈構造史〉と〈日常史〉の結合による新たな〈社会史〉の確立をめざし、歴史学方法論に一石を投じる論集。


『稲を選んだ日本人 民俗的思考の世界』坪井洋文(未來社)

初版1982・最終版1995年◆四六判◆236頁◆税込3,024円(本体2,800円)

ISBN 978-4-624-22009-9


日本文化の歴史を稲作民と畑作民の二つの異集団文化の接触過程として捉え、その対立・抗争・同化・吸収の諸相を追いながら民俗的世界の構図を解明する。


『日本の貨幣の歴史』滝沢武雄(吉川弘文館

初版1996・最終版2004年◆四六判◆296頁◆税込3,240円(本体3,000円)

ISBN 978-4-642-06652-5


日本の貨幣の歴史を、各時代の重要問題を的確に解明し、先行研究を基礎に分かり易く詳述した貨幣通史。


『軍都の慰霊空間 国民統合と戦死者たち』本康宏史(吉川弘文館

初版2002・最終版2002年◆A5判◆384頁◆税込8,640円(本体8,000円)

ISBN 978-4-642-03742-6


軍人墓地など戦死者を弔う特別の空間の立地や景観、儀礼などを通し、軍事都市を中心に展開した近代国家による民衆統合の様相を解明。


『苧麻・絹・木綿の社会史』永原慶二(吉川弘文館

初版2004・最終版2005年◆四六判◆384頁◆税込3,456円(本体3, 200円)

ISBN 978-4-642-07934-1


日本列島に生きた人びとの生活を、前近代の三大衣料原料であった〈三本の糸〉を手繰りながら織り出す。歴史学の巨星、最後の著作。


『中世日本の国際関係 東アジア通交圏と偽使問題』橋本雄(吉川弘文館

初版2005・最終版2005年◆A5判◆364頁◆税込9,720円(本体9,000円)

ISBN 978-4-642-02841-7


朝鮮や明に現れた偽使たちを派遣した地域勢力から、室町幕府外交体制崩壊の過程を解明。国家と地域の関係を軸に、新たな国際関係像を構築する。