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『告白』町田康(中央公論社)

告白

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 昨年の文芸界最大の話題作であり、町田康の(現在までの)最高傑作といっていいだろう。

 この小説は明治23年(1893)に実際に起きた「河内十人斬り」をモデルにしている。事件のあらましは帯に紹介されているが、Wikipediaをリンクしておこう。

 チンピラ二人組が痴情と金のもつれから、村の顔役一族十人を惨殺するという猟奇的な事件だが、民衆の同情はむしろ犯人側に集まり、主犯の城戸熊太郎の物語は河内音頭や芝居、浪曲に仕立てられ、関西では国定忠次雷電為衛門なみに有名らしい。河内音頭はCDになっている。河内家菊水丸の三枚組の口演は絶版だが、熊太郎の妻が弟分の弥五郎にまでちょっかいを出すというバージョンが『唄う爆弾30連発!河内家菊水丸の新聞詠み河内音頭』に活字化されている。また、本宮泰風口演のDVD『→紀伊國屋書店で購入