2013-01-01から1年間の記事一覧
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「これはアラーキーの小説論だ」 文芸誌の『新潮』に荒木経惟の連載が載っているのを見つけたのは、いつころだっただろう。ページをめくっていったら、突然、活字ページのあいまに彼の写真が登場した。20ページとかなりのボリュ…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「大切なのは関係性」 ミーティングファシリテーターとして活躍中の「マーキー」こと、青木将幸さんの新刊が出た!「ハウツー本」?意外だな、と思いきや・・・ 「場をつくる」プロからの愛のメッセージだった。 私たちは人が集…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「マイク・ロイコ、Tell it like it is.」 全米600紙を超える新聞にコラムを提供していたマイク・ロイコ。1997年4月29日に死んでしまったロイコだが、彼のような骨のあるコラムを書くコラムニストはもういない。 ロイ…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「アジア主義」を、まず世界史のなかに位置づけたこと、さらに今日の地域主義と結びつけて時事問題を考えるためにも有効であることを示したことが、本書の特徴であり貢献である。日本学術振興会科学研究費補助金(基盤A)助成…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 デザイナーであり、桑沢デザイン研究所・東京造形大学を有する桑沢学園を設立した教育者である桑沢洋子。戦前から『婦人画報』の編集者として服飾の仕事に関わり、戦後大きく様変わりした日本人女性の暮らしを衣の側面から見据…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「訳すと、『有(う)時(じ)物語』なんです。」 この本を読むまで、ルース・オゼキという作家の名は聞いたこともなかった。今春に上梓された本書は、デビュー作の“My year of Meats” (1998) 、“All Over Creation (2003)” に次ぐ…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 『舞姫』のエリスのモデル、エリーゼ・ヴィーゲルトをつきとめた『鷗外の恋 舞姫エリスの真実』の続編である。著者がついにエリーゼの写真にまで行き着いたことは新聞の報道などでご存知だろう。本書はこの奇跡ともいえる発見の…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 森鷗外は明治37年4月、第二軍軍医部長として日露戦争に出征した。以後2年近くを満洲の荒野ですごすが、そのおりおりに書きとめた詩歌をまとめ、明治40年に『うた日記』を出版した。 本書は『鷗外・茂吉・杢太郎 「テエベス百門…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「闘うことの楽しみ」 手足の指の感覚がなくなっていく。休憩所に戻り手袋を脱ぐと、すぐにストーブにあたってはいけない。指を一所懸命こすり、感覚が少し戻ってきてから、遠くから少しずつストーブに近づいていく。酷い時には…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「キャラクターの/をめぐる社会史」 本作は、キャラクターそのものの歴史と、それをめぐる社会背景とが手際よくまとめられ、かつハンディで読みやすい著作である。 キャラクターについての著作はいくつかあるものの、その登場…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 医者にして文学者を兼ねた三大家――鷗外・茂吉・杢太郎――の明治の終りから第一次大戦にいたる10年に思いをはせた随想である。 副題の「テエベス百門」とはルクソール神殿や死者の谷があるエジプトの古都テーベのことで、木下杢太…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「個人への報復か、システムの改善か」 いきなり私ごとで恐縮だが、実験的なマンガが好きである。本作についていえば『アフタヌーン』(講談社)に、あるいは最近でいえば『COMICリュウ』(徳間書店)などに掲載されているよう…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「“異床異夢”な日本の男女に対する問題提起作」 エロ本がなぜか落ちている、という光景を見なくなって久しい。 評者の実家近くには大学があり、その構内の雑木林には、きまってエロ本が捨てられていたのを思い出す。見つけた所…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「英女王を知らずして英国社会は語れない」 長く毎日新聞のロンドン特派員や欧州総局長として英国社会を観察してきた著者によるエリザベス女王論が登場した(黒岩徹『危機の女王 エリザベスⅡ世』新潮選書、2013年)。著者はすでに…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 鷗外は芝居好きの家に育った。千住時代は家族そろって近所の芝居小屋や寄席にくりだすことがよくあった。弟の篤次郎は三木竹二の筆名で歌舞伎評論の草分けとなった。 ドイツ留学時代も鷗外はオペラから場末の見世物まで、さまざ…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「ドイツを「鏡」に日本の介護保険制度を考える」 2000年に導入された日本の介護保険は、ドイツの例を参考にしたと言われています。もともとドイツは、1880年代に、帝政ドイツの宰相ビスマルクの主導によって、世界に先駆けて三…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 『親族の基本構造』は1947年に刊行されたレヴィ=ストロースの主著である。レヴィ=ストロースの名を文化人類学の世界で一躍高めるとともに、構造主義の出発点ともなった。 日本では刊行から40年もたった1987年になってようやく…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「ベジタリアン」=「野菜を食べる人」と思われがちだが、ベジタブルからベジタリアンという言葉が生まれたのではなく、両者は「……に生命を与える、活気づける」という意味のラテン語を語源にもつ言葉同士なのだという。日本語…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「福田恆存が快哉を叫ぶ、かも」 本書の訳者とは、関西大学の同じ学部で3年間ほど同僚だった。本書を訳者からいただいて、しばらくたったときキャンパスで訳者に出会った。「売れている?」と聞いたところ、「さっぱり」という…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「文科省の「うるさい伝説」」 →紀伊國屋ウェブストアで購入 著者はかつて「ミスター文科省」と呼ばれた有名人。そこへ来て副題が「三流官庁」なので、新書特有のうすらいかがわしさを嗅ぎ取る人もいるかもしれない。しかし、本…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「経済学における客観主義―スラッファ没後30年」 今年は、イタリア出身の経済学者ピエロ・スラッファ(1898-1983)没後30年の年でもある。彼は若き日にイギリスの経済学界を揺るがした論文「競争的条件の下での収穫の法則」(1926…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 校長先生の自転車をくせ毛の細身の少年が懸命にこいでいる。荷台には、小柄な少年が顔を空に向け、目をつむって両手を広げている。右手には、チョークの箱を持っている。こいでいるのが、本書のおもな語り部であるイカル、荷台…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「ドナルド・フェイゲンの作家デビューとなる本」 1980年、僕はその4年前にアメリカでのビザ無し不法労働で米国移民局に捕まり、その後のややこしい裁判を経て、何故か移民局がくれるというアメリカの永住権をもらうために…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「すべての境界が溶解している」 私が写真のことを考えはじめたのは1993年、『芸術新潮』で「眼の狩人たちの軌跡」という連載をもったときだった。5センチの厚みのある『アイメージング』を繰りながら、この20年のあいだに写真…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 小遣いをためて買った『谷川俊太郎詩集』、七百ページにもおよぶその本をはじめてひらいたとき、13歳だった著者がもっとも衝撃を受けたのは、そこに収められた詩篇「六十二のソネット」の〝目次〟の部分だった。 25 世界の中で…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「宮澤賢治とクラシック音楽との接点」 宮澤賢治(1896-1933)について書かれた本は多いが、賢治の生涯や作品とクラシック音楽との接点に的を絞った本を初めて読んだ(萩谷由喜子『宮澤賢治の聴いたクラシック』小学館、2013年)。…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「精神科医、快刀乱麻を断つ!」 最近、『それは「うつ」ではない』(A・ホーウィッツ / J・ウェイクフィールド著 伊藤和子訳 阪急コミュニケーションズ 2011)を読んだ。うつ病の歴史・社会的背景を綿密に追跡し、精神医学のア…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 朝日新聞DEGITALは、10月23日につぎのように報じた。「韓国教育省は21日、いったん検定に合格した8社の高校用歴史教科書について、日本の植民地支配や北朝鮮などに関する記述を変更するよう求めた。合格後、一部の教科書につい…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「日本の進むべき道を考えるための一冊」 パリでメトロに乗っていると、小銭をもらうために車内を回ってくる人によく出会う。歌を歌ったり詩を朗読したり人形劇を演じたりして何か芸を見せてくれる人もいれば、自分は失業者で今…
→紀伊國屋ウェブストアで購入 「岩波文化の実像と虚像をたっぷりと描く」 本書336頁(第8章「午後四時の教養主義」)に岩波書店主催の文化講演会についてふれられている。1958年6月後半に新潟市・両津市などで開催された、とされている。実はこのと…